あるものが欲しい。そして、今すぐ欲しい。たとえば、車、大金、片思いの相手との熱いデートなどです。もっと、差し迫った必要がある夢もあるでしょう。昇進する。学校に戻る。夢だった仕事に就く。違う街に引っ越す、などです。
そんなとき、どんなことをするでしょうか。まず、空想に耽ったりしますよね。細部を思い描いて空想を豊かなものにしたり、その空想に浸っていい気分になったりします。あるいは、立ちはだかる障害物を考えて、嫌な気持ちになったり。いずれにしても空想は空想です。実現困難な絵空事です。
私たちは空想に耽り、障害を思い悩む傾向があるといいます。心理学者は、これを空想現実化理論(fantasy realization theory)と呼んでいるそうです。
しかし私たちには、第三の傾向もあって、これが役に立つとか。行動を起こして夢を実現する可能性を高める戦略で、対比(コントラスティング)と呼ばれているそうです。
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空想すると、気分はよくなるけれど、行動を起こしにくくなる。
単に空想して夢を実現させてしまうと、気分はよくなります。しかし、これが悪い結果となりうるのです。私たちの身体は目標の達成を視覚化してしまうと、「使命は遂行された」という信号と認識してしまうのだそうです。すると、リラクゼーション反応が起こります。空想に耽ると気分はよくなるかもしれませんが、行動を起こす動機づけという点からは、絶対によくないのです。
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起こるかもしれない障害を思い悩むと、行動に移せなくなる。
そして、立ちはだかる障害を思い悩むと、気分は落ち込みます。すると脳は、すばやく次のような言い訳を並べ立てるといいます。時間がかかり過ぎる。難しすぎる。できない。すると落胆して、行動するのを諦めてしまいます。
空想と障害を対比する
しかし、未来についての空想と立ちはだかる障害を対比すれば、有用なことが起こるのです。
1 行動するエネルギーが湧いてくる。
2 効果的な行動をプランを立てることができる。そして、この行動プランが、現実に障害が発生したときに役立つ。すると、立ち止まってしまわないで、どんどんと前に進んでいける。
対比の効果
研究者らによると、空想と障害のタプルパンチが目標達成を目指す人にとって効果的だそうです。目標には健康、学業、対人関係など、いろいろなものがありえますが、どのような目標に対しても効果があるのだとか。また、この対比の戦略には、別の効果もあるそうです。成功を思い描けない場合、空想があれこれ変わってしまう場合、100%確信できない場合には、頭のなかで対比を行えば、非現実的な目標をそぎ落とすことができるのです。
実践手順
では、どのようにやるかを見ていきましょう。数分しかかかりません。ペンと紙を持ってください。ワードの編集画面を開くのでも構いません。実際にやってみましょう。
1 達成したい目標を書き出します。たとえば、仕事でもっと生産性を高めたい等です。
2 その目標を達成した場合に生じるプラスの結果を書き出します。たとえば、一日の終わりに達成感を感じるなどです。
3 次にリラックスして、そのプラスの結果をできるだけ鮮明に想像(視覚化)します。たとえば、達成感を感じている場面を想像(視覚化)します。
4 目標達成を妨げるものを書き出します。たとえば、フェイスブックをやり過ぎるなどです。
5 その障害が発生しやすい時間、場所を書き出します。たとえば、疲れたとき・エネルギーが足りないときなどです。
6 その障害をどうしたら克服できるかを書き出します。たとえば、立ち上がって水を飲む、ストレッチをするなどです。
7 最後に、「もし・・・したときは、~する」の形式で、実行の決意を書き出します。必ず特定の時間と場所を(「もし・・・したときは」の部分に)含め、そして、実行するつもりの特定の行動を(「~する」の部分に)含めます。今までの例でいくと、次のようになります。「机の前に座ってパソコンで仕事をしているときに、もし疲れを感じたら(「障害」:何が、どこで、いつ)、立ち上がってストレッチをする(「障害」を乗り越えるための特定の行動)。
このようにして、ぜひ空想(夢)を行動に変えてください!
感想
目標を達成した場面を空想して、いい気分になってしまうと、それで満足してしまって、実際に行動に移すのが困難になる。本当にその通りだと思いました。気をつけたいですね。ただ、目標達成の道のりでは、さまざまな障害が生じます。その障害を乗り越える方策をあらかじめ考えておけば、目標達成の可能性が高まる。そんなお話でした。
この方策を乗り越える部分は、一般的なストレス解消の方法(たとえば、呼吸法・休みを頻繁にとる)なども役立つかもしれないと思いました。ぜひ取り入れてみたいですね。