妊娠中に「赤ちゃんに何か障害があったらどうしよう」と不安になる方は非常に多いと思われます。「ダウン症」という名前は障害の中でも比較的有名ですよね。
ダウン症は妊娠中に検査をすれば生まれる前からわかることも多いですが、産後に判明する可能性はあるのでしょうか。新生児からわかる特徴はあるのでしょうか?この記事では、新生児のダウン症の特徴についてご紹介します。
目次
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そもそも、ダウン症とは
「ダウン症」という名前は聞いたことがある方が大半だと思います。ダウン症は正確には「ダウン症候群」という名前がついています。1866年にイギリスで ラングドン・ダウン博士が発見したことから名づけられました。染色体の突然変異が原因で発症する先天的障害です。
全出生数のうちダウン症の発症率は約800分の1ですが、出産年齢が高齢であるほど発症率が高くなることが分かっています。出産年齢が20代で発症する確率は約1667分の1ですが、30歳で952分の1、35歳で378分の1、40歳で106分の1、45歳で30分の1と明らかに確率が上がります。
症状は?
ダウン症を発症した場合、大脳の神経細胞が委縮する、細胞数が減る、構造の乱れが起こって脳の機能の分化が遅れます。
それによって、歩いたり指で物をつまんだりする微細な運動の発達や言語の発達に多少遅れが生じます。精神発達の遅れや、低緊張によって運動が困難なことがある場合もあります。
ダウン症にも種類がある
ダウン症は、染色体異常の原因によって3種類にわけられます。21トリソミー型、転座型、モザイク型です。ダウン症のうち95%が21トリソミー型です。
遺伝に関わる染色体は通常2対で23組、全部で46本あります。ダウン症の場合は21組目の染色体が1本多く、全部で47本と1本多いのです。余分な3本目の染色体が別の染色体とくっついている転座型が3〜4%、21番目の染色体が3本のものと2本のものがモザイク状に混じり合って存在するモザイク型は1〜2%です。
モザイク型はダウン症の中でもかなりまれですが、症状は比較的軽度なことが多いようです。
告知されるのはいつなの?
ダウン症であると告知されるタイミングは、状況に応じて様々です。生まれた直後、3日後、1週間後、1か月健診のタイミング、などが比較的多いようです。産後、ママの気持ちや身体が落ち着いてきた頃を見計らうのが良いようです。産後にダウン症の特徴がみられた場合、医師の診察の後に確定検査を受けてからの診断となります。
現在では、出生前でも血液や羊水を採取して遺伝子検査を行い、高精度で調べることも可能です。しかし、出生前検査は倫理的な問題が非常に大きくなります。検査が出来るタイミングも決まっています。出生前検査を受ける時は、結果の受け止め方などを夫婦でしっかり話し合って臨んで下さいね。
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新生児の頃からわかるダウン症の特徴は?
ダウン症の人は特徴的な顔貌をしています。これは、染色体の異常が同じ部分だからです。顔の中心の筋肉は成長が遅いですが、外側は通常の早さで成長します。そのため顔全体が平坦でつり目がちになるのです。
身体的な特徴
- 顔が平坦
- 鼻が低い
- 目がつり上がり気味
- 耳が小さい
- 目と目の間隔が開いている
- 口角が下がり気味
- 口から舌を出す
- 首のしわが多く、太くて短め
- 指が短めで、小指の関節が1つ少ない
- 身体がふにゃふにゃと柔らかい
- 関節が柔らかい
- 力が弱い
全員がこれら全ての特徴に当てはまるとは限りませんが、当てはまるものは複数あると考えられます。鼻が高いダウン症の子は中々いません。
性格的な特徴
- あまり泣かない
- おっぱいやミルクをあまり飲まない
- 泣き方が弱々しい
- よく眠る
合併症
重度のダウン症の場合は合併症を持っている場合も多いようです。中には、合併症が原因で生後数日で亡くなる方もいるようです。
心臓
合併症の中で圧倒的に多く、ダウン症の赤ちゃんのうち40〜50%が心臓に何らかの疾患があるとされています。
消化器
十二指腸閉塞や肛門が開いていないなど、3~8%が消化器疾患を持っているようです。
眼
約60%が斜視や眼振など、眼の異常を持っています。
耳
難聴であるケースも多く、滲出性中耳炎になりやすいこともわかっています。
「もしかして…」と思ったら
出産後にダウン症であると判明する場合、生後すぐにわかることもあります。
一方、数週間程度かかって「大丈夫かな?」と心配な点が増えてきて小児科を受診し、精密検査の結果初めてわかるケースもあるようです。先ほどの特徴にも挙げましたが、ダウン症の赤ちゃんは筋肉の発達が遅く、低緊張です。そのため
- 生後しばらく経っても、おっぱいやミルクを中々上手に飲めない
- 一日中寝ている
- あまりぐずったり泣いたりしない
といった様子が見られます。2人目以降だと、「抱っこした感じが上の子と違って柔らかい気がする」と気が付くママもいるようです。
何か「おかしい」と感じた場合は小児科に相談してみましょう。くれぐれも自分で決めつけてしまわないようにして下さいね。
ダウン症の赤ちゃんの成長の様子は?
ダウン症の赤ちゃんは低体重であることが多く、心身の発達スピードもゆっくりです。授乳する時の吸う力が弱い、寝返りやハイハイなど動き始めが遅い傾向にあります。
ダウン症の赤ちゃんの平均的な運動発達は、 4~5ヶ月で首すわり、7~8ヶ月で寝返り、10ヶ月頃にお座り、18ヶ月頃につかまり立ち、24ヶ月で歩き、3歳ごろしゃべり始める、といったペースです。また、程度に差はありますが、知的発達もゆっくりペースです。
1、2ヶ月に一度は健診を受けて発達具合や合併症の有無をチェックします。ダウン症の赤ちゃん用の発達曲線がありますので、それを参考にして発達具合を確認します。
もし合併症がある場合は治療を行います。
昔は「ダウン症は長生きしない」と言われることもありましたが、現在は医療技術の発達によって合併症の治療が進み、社会的な支援体制も整備がすすめられているため平均寿命は延びています。
治療法はあるの?
ダウン症そのものの治療法は、現在は残念ながら存在しません。合併症がある場合はその治療を行います。ダウン症は一般的に免疫力が弱いため、病気にかかりやすいと言われています。
特に赤ちゃんの頃はただでさえ体調を崩しがちなもの。何かあったらすぐに対応出来るようにかかりつけ医を見つけることが大切です。
また、ダウン症の場合は発達がのんびりペースです。
現在は早期に療育期間のサポートを受けられるような制度が整ってきています。運動能力を伸ばす・強化するようなリハビリ訓練を受けることが出来るので、その後の成長をより良いものにするためにも積極的に福祉の制度を活用したいものですね。
もしダウン症と診断されたら
もしも赤ちゃんが生まれてからダウン症と診断されたら…。不安や戸惑いを覚えるママやパパがほとんどでしょう。子どもの将来はどうなるのかな、と心配になることも多いでしょう。しかし、現在はダウン症と診断された人を支援してくれるところはたくさんあります。
子ども本人だけでなく、育てるママやパパを支えてくれる、育児について相談できる場所もあります。簡単にはいかないかもしれませんが、周りの力を借りて子どもの成長を支えてあげましょう。
まとめ
新生児のダウン症の特徴をご紹介しました。出生前検査で話題になることが多いダウン症ですが、生まれてからわかる場合もあります。もし「おかしいな」と感じることがあったら、1人で決めつけずに早めに小児科で相談してみましょう。