だれもが皆、より成功したいと思っています。でも、本を読むと、成功するためにはたくさん努力しなければならない、と書いてあるのではないでしょうか。もう少し楽しくなるような、科学的に証明された方法がないでしょうか。それが、あるのです。
ハーバード大学のショーン・エイカーの研究によると、成功が幸せをもたらすのではなく、幸せが成功をもたらすのだそうです。つまり、あなたには、より幸せになるために、できることがあります。そして、より幸せになれば、より成功するのだというのです。
目次
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1 成功すれば幸せになれるのでしょうか。いいえ。幸せだから成功するのです。
私たちは皆、成功を追い求めます。成功すれば幸せになれると思って。昇進すれば幸せになれる。昇給すれば幸せになれる。10キロ痩せれば幸せになれる。こんな風に思います。
しかし、研究によると、これは正しくないそうです。目標を達成すると、ほんの少しの間は幸せになれます。しかし、その後は、次の大きな目標に目を向けることになります。
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幸福度を高めれば、ビジネスや学習の結果は劇的に改善する。
楽観性を高め、社会的なつながりを深め、幸福度を高めれば、ビジネスや学習の結果は劇的に改善します。幸福度を高めて、楽観性を深めれば、否定、中立あるいはストレスにさらされた状態に比べて、成功の可能性は劇的に上昇するのです。
メットライフ生命は、こうした素晴らしい結果を踏まえて、楽観性を基準として営業職員を採用するという取組みを始めたそうです。すると、楽観的なグループは、悲観的なグループに比べて、1年目は19%、2年目は57%も売上げがよかったそうです。
成功の要因は、楽観性を高めること、ストレスを解消する方法を知っていること。
従業員の知能、技術的スキルが分かっているだけでは、仕事で成功するかは、25%くらいの程度でしか分からないそうです。長期的な成功の75%は、知能や技術的スキル、つまり採用方法や教育・訓練方法ではなく、他の3つの包括的なカテゴリーで予測可能なのだそうです。その3つとは、楽観性(困難な状況では自分がどう行動するかが大切であるという信念)、社会的つながり(深く広い人間関係をもっているか否か)、ストレスに気づく能力です。
そして学生であれば、将来成功したいと思うのなら、成績ではなく、楽観性をもっと気にした方がいいのだそうです。ショーン・エイカーによると、大学の成績で将来の収入を予測しようとしても、その精度はサイコロを振って予測するのと変わらないといいます。
つまり、自分の考え方が、将来の成功に大きな影響をもたらすというわけです。
2 問題を脅威と捉えるのではなく、挑戦と捉える。
問題を乗り越えるべきハードルと捉える。そして、こうした考え方は、学習により身につけることができるそうです。ストレスを脅威ではなく、自分を高める挑戦と捉えることで、ストレスに関連する症状が23%も減ったといいます。また、幸福度が有意に高まっただけではなく、仕事への取組みの度合いも改善したそうです。
しかし、仕事が多すぎる場合はどうでしょうか。「挑戦」が多すぎて、対処できない状態です。ワークライフバランスを諦めるべきでしょうか。友人との計画をキャンセルして、オフィスで残業した方がいいでしょうか。この答えについても、全くの逆だったのです。
3 仕事量が2倍になったら、友だちも2倍必要。
友人との約束をキャンセルして、仕事に打ち込む。寝る時間を惜しんで勉強する。そうすることで、業績や成績がよくなったでしょうか。いいえ、そうはならなかったのです。そうすることで、幸福をあらわす最大の指標から、自らを切り離すことになってしまいました。
ストレスを最も上手に切り抜ける人は、ストレスのかかる状況にあるとき、人と会ったり、人間関係を形成することに時間を投資するのだそうです。これは、たいていの人がしていることとは逆です。社会的なつながりは、幸福の最大の指標です。そして、幸福は成功をもたらすのでした。この場合も同じなのです。社会的つながりは、学業成績を予測する上で極めて大切なことが分かったそうです。
ソーシャルサポート(物質的・心理的支援)を与える
ストレスに強くなりたい。生産性を高めたい。昇進したい。そう思う人は、ソーシャルサポート(物質的・心理的支援)を求めるのではなく、他者にソーシャルサポートを与えるのだそうです。
ペンシルバニア大学ウォートン校のアダム・グラントによると、ソーシャルサポート(物質的・心理的支援)を与える人は、大きな利益を得るそうです。また、ショーン・エイカーによると、職場で利他的な上位4分の1の人は、幸福度が有意に高く、その後2年間に昇進する可能性が40%も高かったそうです。
「もう分かった。幸せになれば、より成功できるんだ。そうしよう。でも、どうしたらより幸せになれるんだ」。そう思っている人も、いるかもしれませんね。でも、これが思っているよりも簡単なのだそうです。
4 感謝のメールを毎日送る
幸せを感じるには、大きなことをする必要はなく、小さいことの方がより大切だそうです。つまり、歯磨きのように、小さな永続する習慣を築くほうが賢明だというのです。
では、小さな習慣だけれども、幸せを長期間にわたって高めるものとは、いったい何なのでしょうか。もっとも簡単なのは、知っている人に、その人を褒めたり、感謝を伝えたりする2分間のメールを、職場に着いたらすぐに送ることだそうです。フェイスブックなどでしても構いません。この感謝のメールを21日連続で、毎日違う人に送ります。
すると、社会的つながりが劇的に増えるのです。そして、この社会的つながりは、幸福の最大の指標でした。また、チームワークもよくなります。「チームの集合的IQやチームの集合的経験年数も測定しましたが、これらのメトリックより社会的結束のほうが効果が強かったのです」。
ショーン・エイカーは、幸福を高める毎日の小さな習慣として、次のようなものを挙げています。
・ありがたいなと思えることを書き出す。
・瞑想する。
・運動する。
・瞑想する。
・運動する。
5 習慣化するには、20秒ルールに従う。
では、変えなければと分かっていながらも、その変化を妨げるものとは何なのでしょうか。ショーン・エイカーによると、変化を妨げるのは「活性化エネルギー」だそうです。
寒い冬の日の朝、起きなければと分かっていても、なかなか起きられない。ジムに行かなければと思っても、ソファーから身を起して、ジムに行く準備をするのが難しい。行動を起こす最初が一番エネルギーを要します。もし必要な活性化エネルギーを小さくできれば、難しいことも簡単になります。そこで、新しい習慣を始めるのを、20秒簡単にすればいいのだそうです。
ショーン・エイカーは、寝る際には、ジムに行く服装で寝て、ベッドの横にはスニーカーを置いておくそうです。そうすれば、起きたらすぐ、運動に行くことができます。
よい習慣を開始するのを20秒簡単にする。そうすれば、その習慣を始められる可能性は、劇的に高くなるのだそうです。よくない習慣をやめる際も同じです。テレビを見すぎてしまうのであれば、リモコンの電池を抜いておきます。すると、テレビをつけるのが20秒遅くなり、テレビを見る時間を劇的に減らせます。
まとめ
・成功が幸せをもたらすのではない。幸せが成功をもたらす。なので、まず幸せになる習慣を身につけよう。
・問題を脅威ではなく、挑戦とみなす。
・より多く仕事をしようとするなら、より多くのソーシャルサポート(物質的・心理的支援)が必要。そして、支援を与えるほうが、支援を受けるよりもよい。
・2分間の感謝のメールを毎日送る。
・20秒のルールを使って、習慣を築く。
ある研究によると、人の幸福感には閾値があり、幸せを感じる度合いは遺伝的に決定されているそうです。しかし、ショーン・エイカーによると、遺伝と環境の壁は、打ち砕けるといいます。つまり、上記のよい習慣を意識的に築き、成功度を高め、ストレスを弱め、レジリエンスを高めて、人生に対してよりポジティブな態度をとることで、遺伝子と環境の壁を壊せるのです。
ショーン・エイカーは言います。多くの人が、自分がこうなのは生まれつきで、残りの人生もずっとこんな感じなのだと思っています。でも、考え方を変えて、習慣を変えれば、人生は変えられるのです。