夏になると気になる汗の臭いですが、何も汗をかくのは夏だけとは限りません。脇や足の裏といった部分は特に汗をかきやすいため、一年を通して臭いの原因になりやすいです。もしも自分自身でも「ちょっと臭いな」と思えるならば、周囲の人達はさらに強烈な臭いを嗅がされている可能性が高いと言えます。
そんな季節を問わず悩まされる汗の臭いを根本から取り除いてくれるのが、お菓子やパン作りでおなじみの重曹です。
この記事では汗の臭いに重曹が効くメカニズムと、日常的に使いやすい用例についてご紹介します。
目次
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汗の臭いの原因である「イソ吉草酸」とは
「汗臭い」という言葉があるように、汗は最も身近な臭いの原因として知られています。しかし実際は汗そのものが臭い訳ではなく、実は皮膚の常在菌が汗に含まれる皮脂を分解した際に出るイソ吉草酸が臭いの原因物質なのです。
このイソ吉草酸とは脂肪酸の一種であり、独特の不快臭を放ちます。
よく例えられる臭いとして納豆の臭いがありますが、これはあながち間違いではありません。ミツカンの研究によれば、納豆の臭いを構成している物質の一つとしてイソ吉草酸が含まれることが分かっています。
また厄介なことに、イソ吉草酸は石鹸で洗うだけでは落ちにくい性質があります。そのため一度衣服にその臭いが染み付いてしまうと、単に洗濯しただけではきちんと落ちてくれないことがよくあります。
そんな厄介な性質のイソ吉草酸を根本から取り除けるのが、正反対の性質を持つ重曹なのです。重曹の詳しい性質については次項で紹介します。
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汗の臭いには「重曹」が有効
冒頭にも書いた通り、重曹と言えば真っ先に思い浮かぶのがベーキングパウダーです。炭酸ガスを発生させて食べ物を膨らませる他にも、重曹にはさらに実用的な効果があります。
それが今回のテーマでもある、消臭効果なのです。
重曹そのものがイソ吉草酸とは正反対である弱アルカリ性のため、中和作用による消臭が可能となります。
それとは別に吸湿性もあるので、雑菌が繁殖しにくい環境を作る意味でも、重曹には複合的な消臭効果があると言えます。
使用する際には粉のままはもちろん、水やお湯に溶かしても利用できるため、幅広い用途が考えられます。今回は汗の臭いについてのみ言及しますが、興味のある方は他の用途についてもぜひ検索してみてください。
重曹の効果的な使い方
それではさっそく本題に移りましょう。
重曹を日常的に使おうと考えると、具体的な用例は押さえておきたいところです。その効果的な使い方としては、以下のようなものが挙げられます。
脇や足の臭い予防には「重曹スプレー」
重曹を粉のまま直接肌に擦り付けても問題ありませんが、重曹スプレーを作っておくと靴の消臭にも使い回せます。その作り方としては、以下の通りです。
①100均のスプレーボトルを用意したら、先に重曹を小匙1杯分(約15g)入れておきます。
②そこに水100㎖を注いだら、中身がこぼれないようフタをしてからよく振り混ぜます。
作り方自体は至ってシンプルですが、その効果は抜群です。
またこの重曹スプレーに抗菌効果の高いティートリーやユーカリ、ラベンダーといった精油を2〜3滴垂らすことで、アロマ付きの重曹スプレーを作ることもできます。
もちろん精油自体は自分が好きな香りでも構いませんが、一点だけ注意点があります。
レモンやグレープフルーツといった柑橘系の精油は、日光に当たることで刺激物へと変化する光毒性という性質を備えています。柑橘系の精油を混ぜた重曹スプレーを使用したいのであれば、脇や足が日光に晒されないよう十分注意して、使用する範囲を考えて使いましょう。
洗濯前のつけ置きには「重曹水」
前述したように、イソ吉草酸は洗うだけでは簡単に落ちないことが多くあります。洗濯物に染み付いた臭いを落とすのに効果的なのが、重曹水によるつけ置きです。
作り方は重曹スプレーと似ており、水1ℓに対して小匙5杯分(約75g)を溶かすだけです。これに衣服をつけ置きする訳ですが、通常であれば30分放置するだけで臭いが取り除かれます。
ただし30分つけても臭いが取れない場合には、1日程度つけ置きすることでより効果が現れやすくなります。また生地の縮みが気にならないタオル類であれば、お湯を使うことでより簡単に臭いが取れやすくなります。
足の臭いを取り除くなら「重曹足湯」
足の臭いを取り除くだけなら、重曹足湯も効果的です。重曹足湯の作り方は以下の通りです。
①足を石けんで洗い終わったら、まずは洗面器にお湯を張ります。
②5ℓのお湯に対して、大匙2杯分(約30g)の重曹と小匙1杯分の酢を混ぜ合わせます。
③10〜15分足を浸します。臭いがきつい場合は、30分間浸した方がより効果的です。
ただし前述したように重曹は弱アルカリ性のため、同じアルカリ性の臭いには残念ながら効果がありません。その弱点を補うために、酸性である酢を併用することでより効率的に足の臭いを取り除くことが可能となります。
酢の独特の臭いが気になるようであれば、代わりに先ほど紹介したティートリーやユーカリといった精油を2〜3滴垂らしてみても構いません。精油単体でも臭い対策として利用できるため、重曹と混ぜることでより高い効果が期待できます。
また臭いとは関係ありませんが、重曹は研磨作用も兼ね備えています。臭いの予防として重曹足湯を毎日続けることで、古い角質層が取り除かれやすく、足がすべすべになるため一石二鳥です。
「重曹風呂」で全身の臭い予防
入浴剤代わりに重曹を一握り分だけ溶かした、重曹風呂もおすすめです。足だけでなく脇の臭いまで取り除くことができ、全身の臭いを予防したい場合にはおすすめです。
香りがなくて寂しい場合にも精油を活用することで、自分好みの入浴剤へと早変わりしてくれます。
古い靴下に粉を詰めて「重曹防臭剤」
洗濯物はつけ置きして洗うこともできますが、靴ともなると洗うことはまず不可能です。そんな時でも重曹と古い靴下を使えば、重曹防臭剤として靴の臭い予防に役立てられます。重曹防臭剤の作り方は以下の通りです。
①重曹を1/2カップ程度測ったら、古い靴下やストッキングに詰めます。カップで測るのが面倒な場合には、目分量でももちろん構いません。
②先端から粉がずれないよう入り口をしっかり結んだら、そのまま靴の中に入れておきます。
こうすることで、重曹の消臭・吸湿効果により靴の蒸れたような臭いを取り除くことができます。また防臭剤として使い終えたら、洗濯物と直接混ぜて衣服の消臭に再利用すると、重曹の無駄が省けるのでさらに経済的です。
まとめ
消臭だけに限らず臭いの予防まで幅広く使える重曹は、100均で簡単に手に入れられます。
そのためいちいち残量を気にしながら量を調節する必要もありませんし、料理用の重曹で買っておけば、臭い対策以外では料理する時にも使えるので非常に便利です。
また重曹の消臭効果は家やペットの臭い予防にも役立ち、料理用だけで使うにはもったいないほど優秀なものです。
皆さんもこの機会に重曹を活用し、臭いに悩まされない快適ライフを手にしてみてはいかがでしょうか。