事務職、特に経理や法務といった半ば専門職のような仕事は、常に経験者だけの聖域のようなものでした。「資格を持っていることは当たり前、それどころか実務経験が3年以上はないと給料もあまりもらえない」といったところがありました。
ですが、最近その傾向が崩れ始めているように感じます。資格を持っていればいい、資格がなくても実務経験が1年あればいい、企業によっては「未経験歓迎」を掲げるなんてところも出てきました。
どこの企業も人財難ではあるんでしょうが、ここまで求職者側に有利な時代もないのではないでしょうか。昔であれば経験者しか獲らなかったような企業も、積極的に未経験者を採用しようとしているんです。キャリアチェンジをしたいという人や、もっといい条件を求めて転職したいと考える人にとっては垂涎モノですよね。
ですが、そのチャンスをしっかりと活かせている人がいるかと言えば、決してそうではないですよね。せっかく「未経験歓迎」にしてくれているのに、面接はおろか書類選考も通過しないという人もいるのではないでしょうか。
どうして内定が出ないのか、どうして面接にすら呼んでもらえないのか…今回は未経験者歓迎求人について書いていきたいと思います。
内定の確率を上げる方法はたった一つだけです。しかも結構簡単だと思いますよ。
目次
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必ずしも未経験者が採用されるわけではない
「未経験歓迎」の文字があるから、全く経験のない業界や職種に応募しようとする気持ちはよくわかります。実際企業側もそんな意図を持って求人を掲載しています。未経験者ではあっても素質のある、能力の高い人財が欲しい。経験者にある固定概念を吹き飛ばすような人材を求めている、なんてことがあるからですね。
ですが、当然ながらその求人に応募してくるのは未経験者だけではありません。必ず経験者も応募してくるんですね。そうなると、未経験者であってもその職種や業界の経験者と戦って勝たなければ内定をもらうことはできません。
未経験者への期待値はそこまで高くない
当然ですが、中途採用の募集をするときには経験者を採用した方が後にも先にも楽です。どんな経験をしているかがわかればスキルの判断がしやすいですし、入社後もイチから教育する必要がないわけですからね。
では、なぜ「未経験歓迎」の求人が増えているのか?ということですが…
- 応募人財の不足
- 将来性への期待
- そもそも市場に経験者が少ない
大体はこんなものです。
どの理由にしても、今現在のあなたに対する期待値はそこまで高くないんですね。将来の伸びしろという意味では大きな期待を背負っているかもしれませんが…。
あとは単純に、経験者に飽きているということもあります。総務職でいえば、経験者の大半が「他人に感謝されることが嬉しい」「現場をサポートすることがやりがい」ということを魅力に挙げてきます。正直そんな理由もう聞き飽きているんですよね(笑)
もっと面白い人に出会いたい、もっと違う志向の人を獲りたいというときには未経験歓迎にしたりもします。
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経験者に勝とうとしない人が多すぎる
ですが、そんな採用側の意図とは裏腹にその職種に擦り寄るような志望動機ややりがいを言ってくる求職者の多いこと多いこと…。本当に残念な気持ちになります。
経験者と同じような理由で応募してきても、経験やスキルがない分負けてしまうのは当然のことではないでしょうか。経験者と同じ土俵で戦うのではなく、少し違った視点で対抗していく必要があると思います。
どうすれば経験者をおさえてあなたが内定をもらうことができるのか…それは他業種・他職種を経験しているからこその視点をしっかりとアピールすることです。
これまでの経験を活かしつつ、新しい分野でも活躍していきたいという求職者は思いの外少ないんです。営業経験者なのに「これからはバックオフィスとして…」と言ったり、SE経験者なのに「これからはPCではなく人と接したいと思って…」などと言ったり…。
これまでの経験が、現在応募している職種にどう活かせるのか、どう活かしたいから志望しているのか、ここの視点が抜けている人がほとんどなんですね。
「今まで営業でバリバリ働いていました。でも今後のキャリアを考えた時にバックオフィスとして現場を支えることが、自分が本当にやりたいことだと気付きました!」なんて言う人がいますが、本当に上手く言えているつもりなんでしょうか?「ただ楽したいだけです」と言っているようなものですよ?
自分の経験値がどうやって活かせるのかをアピールする
これまでの仕事がキツかった人ほど、転職の場では「やりきった感」を出してきがちです。採用する側にとってみると、それがいかにつまらないものかを考えてみてほしいんです。
たったの2年、3年しか社会人としての経験がない人が「営業としてはもうやりきったため、次は総務として働きたいと考えました」と言われても面接の短い時間ではそれが本当かどうかを確かめる手はありません。もしかしたら、採用したとしても数年後にはそう言って他の企業に転職してしまうかもしれません。
どうやって新しい価値を提供できるか
先ほど、未経験者を募集する大きな要因として下記の3点を挙げました。
- 応募人財の不足
- 将来性への期待
- そもそも市場に経験者が少ない
未経験歓迎求人に応募する方は、その中でも「将来性への期待」というところで相手の心を掴めるようになってほしいと考えています。
特に、これまでに経験者しか採用してこなかった職種は、仕事に対してはある程度固定概念というか、ルーティン的なものを持っています。
総務として価値提供できるのは電気代などの費用削減だけだとか、経理は金勘定だけしていて、企業に利益を提供できる職種ではないだとか…。仕事そのものに対しての凝り固まった概念が非常に多いです。だからこそバックオフィスというのは楽だと思われてしまうんですが…(笑)
だからこそ、全く違った立場から新しい風を吹かせてくれる人が出てくると「おぉっ!」となるわけです。
私の個人的な考えでいうと、最近バックオフィスとして元SEであったりプログラマーの採用が盛んになるのではないかと考えています。
企業活動のシステム化が進んでいる中、他の企業が提供する既存のシステムでは対応しきれない点がどうしても出てきます。それを解決できるよう、自社アプリの制作やシステムの改善といったところに知見のある人はかなり重宝されるんじゃないかと思います。
これは私の勝手な考えであって他の企業ではあてはまらないかもしれませんが(笑)
ですが、これまでのあなたの経験がどうやって新しい職種に活かすことができるのか、それをしっかりとアピールできる人でないとたとえ未経験歓迎の求人であっても内定は出ないと思います。
ここを理解した上で自分の志望動機や自己PRを見直してみてはいかがでしょう?
さいごに:あなたへの投資を上回る期待を引き出す
第一印象や話し方、コミュニケーション能力というのは、面接という限られた短い場では確かに有効です。ですが、これが内定の決め手になることはあまりありません。それ以上に大切なのは「この企業に対してどんな価値を提供できるか」ということが自分で理解できていることです。つまり自己理解ができているかどうかですね。
未経験者歓迎をうたっていても、さすがに役に立たなそうな人財を採用する気にはなれません。「経験はなくても、今後の可能性を感じる」と思わせるためにどうすればいいのかを考えると、やっぱりできることは一つだけなんですよね。
そう、自分の経験を志望職種に活かすためにできることをアピールすることなんです。
自分の経験が、スキルが、資格が、志望する職種に就いたときにどうやって活かせるのか、どうやって企業の今後に寄与するのかということを考えた上で履歴書や職務経歴書を完成させるようにしましょう。
そうすると書類選考の通過や面接の通過の確率もぐんと伸びてくるんじゃないかと思います。
是非思い通りのキャリアチェンジが叶うといいですね!