お腹がぽっこりと出ていると、腹筋によるダイエットで、腹まわりを中心に痩せることを目指しがちです。しかし、腹筋だけをしても、痩せないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
実は、腹筋だけではダイエット効果が得られにくく、痩せにくいのです。
なぜ腹筋だけを鍛えてもお腹が痩せないのか理由をみていきましょう。
目次
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腹筋で鍛えられるのはアウターマッスルの「腹直筋」
お腹がぽっこりと出ていて気になるとき、痩せるために腹筋ダイエットに励むことは効果があるのでしょうか。
- 腹筋は「腹直筋」を鍛える運動
一般的な上体を起こす腹筋運動で鍛えられるのは、「腹直筋」という胸骨の下から恥骨まで縦に広がる筋肉です。腹筋が割れた「シックスパック」といわれる状態は、腹直筋を鍛えたことによるものです。
筋肉には、アウターマッスルとインナーマッスルがありますが、腹直筋はアウターマッスルになります。アウターマッスルは、体の表面の近くにある表層筋で、関節などを動かすなど大きな力を出す筋肉です。一方、インナーマッスルは体の奥にある深層筋で、関節の細かな動きを支えて、姿勢を保持する役割をしています。
- 腹筋はダイエットには不向き
お腹がぽっこりと出ている人の原因の多くは、皮下脂肪が溜まっていることや内臓下垂によるものです。
ダイエットで皮下脂肪を落とすためには、腹筋を含む筋トレなどの無酸素運動よりも、ウォーキングやジョギング、水泳、踏み台昇降といった有酸素運動の方が効果的です。有酸素運動では、ゆっくりとエネルギーとして脂肪が燃やされていくのに対して、無酸素運動では糖質が使われていきます。
内臓下垂とは、胃や腸の位置が下がった状態です。腸が押しつぶされてしまうため、血行不良となって代謝が落ちることから、下腹部に脂肪がつきやすくなります。インナーマッスルを鍛えて体幹を整えて、内臓を正しい位置に戻すことで改善されます。たとえば、ゆっくりと息を吸ってお腹を膨らませる、ゆっくり息を吐いて30秒キープすることを繰り返すことで、インナーマッスルを鍛えられます。
こうした理由から、腹筋でアウターマッスルである腹直筋を鍛えるダイエット方法では、お腹が出ている原因が、皮下脂肪によるものでも、内臓下垂でも痩せないことが多いのです。
また、シックスパックを目指して腹筋をやる場合にも、皮下脂肪がついた状態では効果が薄れてしまうため、脂肪を落とす必要があります。
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腹筋で消費できるカロリーは意外と少ない
腹筋はダイエット効果が低く痩せないとされる理由は、腹筋で消費できるカロリーの少なさにもあります。腹筋の消費カロリーをもとに、ほかの運動と比較してみましょう。
腹筋の消費カロリーとは
腹筋の消費カロリーは、回数ではなく時間をベースとして、次に挙げる計算式で求められるとされています。
「体重(kg)×0.1485×時間(分)×補正係数」
補正係数は、男性の場合は「20~29歳 」は1.00、「30~39歳」は 0.96、「40~49歳 」は0.94です。女性は「20~29歳」は 0.95、「30~39歳」は 0.87、「40~49歳 」は0.85となっています。
たとえば、35歳で50 kgの女性が10分間腹筋をした場合、約64.6kcalを消費できる計算となります。しかし、たとえば1分間に15回腹筋をすると、10分間で150回になってしまい、一般的な人にはこなせる回数ではありません。腹筋では30kcal程度の消費と考えるのが現実的でしょう。
腹筋とほかの運動との消費カロリーの比較
では、ダイエットで取り組まれることの多い、ほかの運動ではどの程度のエネルギーを消費できるのでしょうか。
ウォーキングを30分した場合で、時速5㎞で100kcal、早めに歩いて時速6㎞で140 kcal程度が目安です。ウォーキングであれば、1時間でも無理なく続けられるでしょう。ランニングでは、30分で200 kcal程度となります。水泳ではクロールがエネルギー消費量が高く、30分で400 kcal程度を消費することが可能です。
腹筋は長時間続けて行える運動ではないこともあり、消費できるカロリーが少なく、腹筋でのダイエットには無理があるのです。
代謝をアップするには腹筋よりスクワットが効果的
それなら、「腹筋で筋肉量を増やせば効果があるのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、腹筋で鍛えられる腹直筋はお腹の薄い筋肉のため、筋肉量はさほど増えず、効果は限定的です。大きな筋肉を鍛えて筋力量を増やすことで、効率よく痩せることができます。
基礎代謝をアップするためには、腹筋よりもスクワットがおすすめです。スクワットでは、太ももの大きな筋肉である「大腿四頭筋」や「大腿二頭筋」などを鍛えることができるため、筋肉量を効率よく増やして、痩せやすい体へと変えることができるのです。
ただし、スクワットはいきなり多くの回数をこなそうとすると体を痛めやすいため、徐々に回数を増やしていくことが望ましいです。また、通常のスクワットを行うことが難しい人は、椅子の背などをつかむ方法などから始めてみましょう。
痩せるには脂肪を燃焼できる運動量が必要
運動によるダイエットでは、筋トレによって筋肉量を増やすとともに、有酸素運動で脂肪を燃やしていくことで、痩せることができます。お腹まわりを中心に痩せたいときにも、腹筋だけをするのではなく、脂肪を燃やすための運動が必要です。
有酸素運動は始めてからの15~20分ほどは、血液中の糖質や脂質を中心にエネルギーとして使われ、その後、蓄積されていた脂肪が燃焼されてエネルギーとなります。つまり、脂肪が燃焼されるのは20分後であるため、20分以上継続してできる運動をやることで、ダイエットにつながるのです。
また、一般的に有酸素運動といわれるものでも、スピードを上げるなどして運動強度を高め過ぎると、無酸素運動となってしまいます。最大心拍数の70%程度となる運動強度が、脂肪の燃焼に効果的ですので、腕時計型の心拍数計などを利用して、心拍数を図りながら取り組むとよいでしょう。