なぜ就職は新卒が有利なのか。

私が就職活動をしていた頃には「新卒切符」という言葉がありました。

「大切な新卒切符をそんな会社に使いたくない!」とか「新卒切符を無駄にした」なんてことをよく言っていたり、聞いたものです。今でも使うんでしょうかね?

 

よく知っている人のほうが多いかと思いますが、世の中の就活においては、既卒や中途に比べて圧倒的に新卒者が有利です。

特に昨今のような売り手市場であれば、早慶上智のようなトップクラスの大学生でなくても一流企業に内定がもらえる可能性が高いです。

 

その中で素朴な疑問です。

なぜ新卒は既卒や中途よりも有利なのでしょうか?

既卒より有利になることはわからなくもないですが、中途より有利になるというのはあまり理解できません。

今回は新卒も中途も採用を担当している私から見た理由を下で書いていきたいと思います。

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新卒>中途 というわけではなく…

「新卒は中途と違ってまっさらな状態から教育できるから良い」

「年功序列の給与体系が多い日本だと、新卒から長く勤めているほど有利」

なんてことが大きな理由として言われていると思います。確かにそうですね。ぐぅの音も出ません。

ですが、私はそれ以外の要因の方が大きいと考えています。

 

そもそも転職経験者が少ない

こと大手企業や人気企業、有名企業になると、転職経験者が少ない印象があります。

居心地の良い環境だから長く勤めるわけですし、長く勤める人が多くいるからこそ企業としてもどんどん成長し、大きくなっていくわけですから筋は通っていますよね。素晴らしいことです。

 

ですが、これが中途採用になると様子が変わってきます。

自身ですら経験したことのない転職…そんな中途採用で、より良い人をどうやって見極めるのでしょうか?

中途採用における人を見定める「眼」を持っている担当者は多くありません。言ってしまえば、それよりも「良さそうな素材」を見つける方が簡単で、責任もそこまで大きくないんですよ。

 

人数の確保

ある程度大きい人数を確保しようと思ったときには新卒採用は便利です。日本全国300万人近い学生が一斉に就職活動をするわけですから!

しかも海外の学生を含めればもっといますから、そこから何百人・何千人と採用するのは難しくありません。

もちろん、採用した後にちゃんと入社してくれるかは別ですが(笑)

 

ですが、転職は人によって開始する時期がまばらで年齢もスキルもバラバラ…

「これくらいのスキルを持った20代をターゲット」としても何人集まるのかわかったものではありません。費用に見合っただけの人財が見つかるかどうかもわからない…

学生であればそこまでスキルに大きな差はありませんからね。

 

選考を通して一定の質の人財をまとまった数確保できる、これを求めている企業は中途よりも新卒採用を優先します。

 

中途では人気がない…

新卒採用と中途採用では人気となる業種や職種が少し異なります。

中途採用は営業職の募集をかけても応募が集まらないことが多々ありますし、同様にマスコミ関係の職種もあまり人気がありません。

ですが、新卒ではどちらも一定の人気がありますよね。特にマスコミなんて常に人気業界上位のイメージがあるんじゃないでしょうか?

 

このように「即戦力がほしい!」と思って中途で募集をかけても、不人気業界であるがゆえに応募が集まらない、でも新卒であれば一定数の応募は見込める…なんて企業が新卒採用に力を入れていることもあります。

私も新卒で入社したのはマスコミ関係の制作会社でしたが、かなり人気があったそうです。小さい会社にも関わらず数十倍の倍率だったそうですから。

ですが、そんな会社でも中途で募集をかけたら一人も集まらないことがあるそうです…。

 

企業によっては新卒に力を入れざるを得ないところもあるんですね。

 

そもそも転職市場に優秀な人財がいない…?

中途採用があまり重視されない一番大きな理由がこれなのではないかと思います。

そもそも優秀な人財が転職市場に転がっていることが少なくなっている印象があります。特に売り手市場売り手市場と呪文のように唱えられている昨今では、どの企業も貢献度の高い人財を確保し、その人財が出ていかないようにすることに必死です。

 

優秀人財の囲い込みで必死な企業だらけの中に中途採用の募集をかけたところで良いことはあまりありません…。

経験者を募集していても、未経験者が応募してくることもあります。はたまた経験とは呼べない代物をさも功績のように喜々として語る方もいらっしゃいます。

同じ「経験者」とはいっても企業によってレベルは大きく異なりますからね。

 

つまり、中途採用は実施するリスクが大きいんです。本当に。それにそんな阿呆であっても書類不合格の通知や面接をする時間があるので非常に手間なんです。

そんな手間をかけるくらいなら、多少の能力差こそあれ同じスタートラインに立っている学生たちを集めた方が効率的ですし、なにより精神的にとても楽です(笑)

 

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さいごに

それでも一縷の望みをかけて中途採用を実施する企業は山のようにあります。リクナビNEXTやマイナビ転職、エン転職などを見ればわかりますよね。

そこで期待されているのはなんでしょうか?新卒ではなく中途採用をする意味とは?

 

社会人としての経験かもしれません。教育する手間もなく現場に配属できるのは大きいですからね。

専門スキルかもしれません。現場の人が足りておらず、今すぐにでも人財が欲しいのかも知れませんね。

はたまた管理職候補が欲しいのかもしれません。さすがに新卒では入社してすぐに課長に離れませんからね。

 

単純にやりたい職種だから応募するのではなく、その企業がどんな人財を欲して募集をかけているのかを読み込むことで、お互いに無駄な時間を過ごさずに済みます。

自分の売り込みたいものを求めている企業を探すことで、より通過や内定の確率が上がってくると思いますよ。